コース教員によるコラムです。不定期に更新しています。

「センス・オブ・ワンダー」:田宮高信2019.7.9

みなさんこんにちは。

え~、医療福祉工学コースで教員をしています田宮です。

オジサンの専門分野は「破壊力学」で基本的な仕事は「壊すこと」です。大切にしているものは「魂」。いま一押しの南千住名物は「青木屋のコロッケパン」です。今は"しょうなん"の比較的自然豊かな田んぼの近くに住んでいます。

そうそう、「魂」と言えば、「センス・オブ・ワンダー」って知っていますか?米国の生物学者レイチェル・カーソンの遺作です。彼女は「沈黙の春」で、誰よりも早く農薬など化学物質の危険性に警鐘をならした誠実な科学者でした。「センス・オブ・ワンダー」、これは自然の神秘や不思議さに目を見張る感性を意味しています。そして、私にとって「魂」とは、まさにそういうものなのかなと思っています。

オジサン、ちょっと前には外国の企業に勤めて自動車の開発に携わっていました。と言っても、壊すのが専門ですけどね(笑)。実際、新しい自動車が開発されると、ぶつけたり、揺らしたり、、、いろいろとにかく壊すんですよ。そう言えば自動車同士を衝突させてつぶしている映像など見覚えありますね。そう、そうやって壊すから、より安全な自動車ができるってわけです。

仕事をしていた拠点の一つはオーストリアにありました。空港から仕事場に向かいます。延々と続く広大な麦畑の丘。麦畑の中を進むワインディングロードを抜けると、深い森と河に囲まれた中世の街が現れます。河は街を囲い自然の堀をなしている。。。そんな時空を超えたような森の中に職場はありました。仕事は、日々、激しい意見の交換です。時には意見が合わず対立が深まることもあります。顧客からの注文はワガママなもので、時にはっきりと拒否することも必要です(特に日本の顧客は、、、(ーー;))。そのような中で、周辺の環境は、仕事を支え柔軟に思考できた大きな要因の一つでした。仕事が終われば散歩をし、自然の神秘に触れ、仲間と食事を楽しむ。その中に仕事につながるヒントがたくさん隠されていました。それは工学的なことも、人間関係の面も、すべてではなかったかと思います。

もちろん技術の世界に生きるものとして、工学的なアプローチを探求することは私たちの使命だと思っています。でも、それだけではなにかもの足りない。。。レイチェル・カーソンのように自然を愛し、自然と共に生きることを欲し、自然の中で生きる人間のあり方から根源的にものが見えるようになりたい。そうすると私たちの学んでいることが、本当の意味で生きてくる。そのようにオジサンは考えています。

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