Labs
実験
電気電子工学コースでは、その学年の座学とリンクするように実験テーマを配置したり、レポート執筆難易度を段階的に引き上げるなど、理解を促す様々な工夫をしています。
いろいろな実験
1年ものづくり実験実習では、テスタ製作とマイコン(Arduino)を使った実験を行います。テスタは、電気回路の特性(電流・電圧・抵抗)を測定するための計測器です。そのテスタを、各素子や部品をはんだ付けし1人1台製作します。マイコン実験では、1)再生可能エネルギーを用いた太陽光発電実験、2)高速通信(5Gなど)の基礎となる通信実験、3)省エネルギー型のモータ駆動実験、4)ロボット制御にも繋がる自動制御実験を行います。これらの実験を通じて、様々な製品やシステムを高性能化・高機能化するための仕組みや考え方を体験的に学びます。
ソースコード
回路素子の種類と値を当てよう!
この実験では、箱の中に隠された素子を当ててもらいます。箱の中には抵抗(R)、キャパシタ(C)、インダクタ(L)のどれかが入っています。オシロスコープを用いて、この素子の交流電圧と交流電流を計測すると、素子の種類を特定できます。本コースの2年次の知識(電気回路網の理論)を活用すればわかるんです。更に、その素子がどんな値(抵抗値[Ω]、静電容量[F]、誘導係数[H])を持っているかも特定できます。テレビ、スマホ、パソコン、発電機まで、電気回路を用いている機器を設計するための基本中の基本を学ぶ実験です。
ディジタル回路
コンピュータ内部では電圧が2値(ディジタル値)しか取りません。この実験では、そのような2値だけを取る回路(=ディジタル回路)の基礎を学びます。ロジックICをいくつも接続して、種々のディジタル回路を作製します。例えば、両スイッチがオンのときに動作する回路、どちらかのスイッチがオンのときに動作する回路などです。回路への入力電圧を(タクト)スイッチで切り替えると、出力電圧が変化します。その出力をLEDとMSOで観察します。この基礎的実験で学んだことは、後にCPUの設計製作にまで発展していくことになります。
電気電子計測
この実験では計測を自動で行わせる実験を行います。普通の実験では、電圧を指定通りに設定する人、計測器を読む人と作業を分担して、1Vの時の値、2Vの時の値、と1つずつ計測値を記録して、全ての値を計測し終わるまで繰り返します。近年ではこの計測を自動化する動きが活発になっています。実験手順を電子機器に自動で行わせるために、回路を組み、プログラミングをして、実行ボタンを1回だけ押して計測を行います。正しく回路を組み、その回路とプログラムの対応をしっかり考えた上でプログラミングをする方法を学びます。
電力と力率
家庭のコンセントから出ている電圧は交流電圧と呼ばれ、時間と共に大きさと向きが変化しています。この交流電圧を機器に加えると、一部のエネルギーが「仕事」に使われて、他の一部は使われません。この実験では、きちんと「仕事をする」エネルギー(=有効電力)を測定します。また「仕事をする」エネルギーと全エネルギー(「仕事をする」+「仕事をしない」エネルギー)の比率を力率と呼び、この力率も測定します。力率はコンセントに繋ぐ機器によって決まります。工場などでは、力率が低い機器をたくさんつなぐと、割増の電気料金が請求されてしまいます。そこで力率を調整する機器をつなげたりしています。
自作オーディオアンプの性能測定
この実験では、3年生の授業で製作したオーディオアンプの性能として、入力信号をひずませずに増幅できる能力を詳細に測定し、実用的なオーディオアンプとして必要となる性能をどの程度実現できているかを確かめます。また、複数の自作オーディオアンプの性能を測定して、比較しチャンピオンを決めます。同じ設計式、同じ素子を使って作ったオーディオアンプのはずなのに、実際に測定してみるとその性能にばらつきが生まれます。このばらつきの原因を考察し、オーディオアンプ製作の際にどんな技術が必要なのかをこの実験では考えます。
LabVIEWを用いて直流モータを制御しよう!
この実験では、LabVIEWの使い方やローパスフィルタ、直流モータのモデリング方法と制御方法を習います。まず、エンコーダでモータの回転位置を測定し、これを微分してモータの回転角速度を算出します。エンコーダーの出力は離散値なので、微分して得られた角速度にノイズが生じます。このノイズはローパスフィルタを使って除去します。次に、モデリング手法として、実験法と数式やパラメータを用いる方法の二通り及びモデルバリデーション(モデルが正しいかの確認)を習います。さらに、求められたモデルに基づいて、制御系を設計し、制御性能を評価します(モータが設計通りに回転できたかを確認)。
三相誘導電動機の等価回路定数を測定しよう!
この実験では、3つの試験を行い、モーター(三相誘導電動機)の性能を表す数値(等価回路定数)を求めます。等価回路とはモーターを電気回路に置き換えたものです。電気電子工学では、モータなどの複雑な装置を簡単な回路に置き換えて考えることがよくあります。得られた等価回路にモータと同じ電圧を加えたと仮定して、モータの電流を計算することができます。この電流はモータの出力トルクに相当します。トルクとは回転を発生させる力のようなものです(正確には力×距離)。このように、簡単な回路の計算から、複雑な装置の挙動(トルク)を知ることができるわけです。
LEGO MindStormsを用いたDCモータの制御の種類と値の推定
LEGO MindStormsによりDCモータ回転メカニズムを製作します。次に製作したメカニズムとコンピュータ(myRIO )及び制御プログラム(LabVIEW) を用いて制御システムを構成します。実験1:プログラムで設定した制御量の調整値を変化させたときの応答信号と入力信号を測定します。実験2:モータの回転位置の目標値を固定し、モータがその目標値に一致しているとき、指でモータ軸を無理に回転させたときの応答信号を測定します。実験3:DCモータの定常回転速度の測定。本実験テーマは、ハードディスクやロボットの関節の制御などDCモータ制御の基礎について学ぶものです。
太陽電池の発電特性測定
太陽電池は、日光をあてて発電するものです。
それでは、どのように設置すればたくさん発電できるでしょうか?
設置する角度、方位は発電量に大きく関係します。
また、気象条件も重要ですね。光の強さ、太陽電池パネルの温度、これらも発電量に影響します。
様々な影響を計測により、定量的に評価して、考察して、深く太陽電池について学んでいきます。
また、計測には、マイコンを用いた自動計測回路を作成したものや太陽光発電システムの現場で利用されているIVカーブトレーサという機器を用います。
将来、様々な分野で太陽電池が応用されていくことが予想されています。
半導体デバイスを自作しよう
身近なスマートフォンやテレビゲームなどには半導体デバイスが数多く使われています。この実験では半導体デバイスになる前の材料であるシリコンウェーハに実際に触れてもらいます。ウェーハを切り出して、真空プラズマ装置で純金やレアメタルの電極を成膜して、パソコンに繋がれた半導体評価用の専用測定器で電気を流して、半導体デバイスが作れているかどうかを実験します。小さくて繊細な半導体デバイスがどのように研究されて、どのように作り上げられているのか体験しましょう。