少子高齢化を迎えている我が国において,熟練技術の継承は非常に重要な課題である.
この熟練技術は長年の経験や訓練によって備わるものであり,巧緻性,すなわち効率的な動 作や力加減の制御を行う能力が中核をなしている.
そのため,技術継承には巧緻性を向上させる訓練内容の指導書や向上具合を評価する手法の開発が必要不可欠である.
そこで本研究の目的は,熟練作業に関わる巧緻性の向上具合を評価できるとともに,向上のための訓練項目を提示できるシステムを構築することである.
このシステム実現にはそれぞれの熟練作業にて,どのような巧緻性が関連するのかを解明しなければならない.
また,その巧緻性の向上具合を日常的に行われる作業動作から評価可能でなければならない.
そこで我々は,撮影した作業の動画を基に動作の分析を行うとともに,熟練者と未経験者の違いを解析することで,熟練作業に含まれる巧緻性の特定と向上具合の評価指針を確立する.